NHKなどでよく放送されている、各業界の「プロ」にスポットを当てたドキュメント番組があります。
どの業界のプロも、インタビュアーの質問に対してとてもシャープな返答をします。
1から10まで、だらだらと説明を繰り広げる人はあまりいないでしょう。
しかしその語られない部分にこそ人々は興味を示し、想像し、感動します。
それがその人の「かっこよさ」や「プロっぽさ」になっていくのです。
ジャンルは違いますが歌詞にも同じようなことが言えます。
歌詞の中の「行間」、つまりは語られない部分を大切にしなければなりません。
音楽もそうですが、音が鳴っていない「間」こそがその音楽を支配するのです。
良い歌詞は語りすぎない。
説明しないこと・アバウトなことへの恐れを捨て、行間で語ることの大切さを感じましょう。
歌詞に「起・承・転・結」はいらない
そのことを踏まえて、まだ駆け出しの作詞家さんが書いた歌詞を見てよく感じることがあります。
それは「ストーリー性がありすぎる。」ということです。
小説や映画などの物語において「起・承・転・結」は基本中の基本です。
しかしそれが歌につけられる歌詞となるとどうなるでしょう?
前の記事でも書いたように、1曲丸々聞いてもらえるという考えは今の時代、とても危険です。
常に忙しい音楽関係者、YouTubeで曲を飛ばしながら再生するリスナーさん。
極端な話ではありますが、丸々1曲を聴いてくれるのは提供アーティストのコアファンのみ、だと思って下さい。
しかし出だし1番で作詞家の思いが伝わり、そこに共感・感動が生まれた場合、
どんなに忙しい人も、曲を止めることができなくなるでしょう。
どんどんとその曲に引き寄せられ、あっという間に1曲を聴き終わってしまいます。
人によっては何度も何度も聞き直してくれるのです。
ポップスの歌詞が目指すゴールとは
話は戻りますが、ポップスは1番で人の心を掴まなければならないと考えて下さい。
そんな状況で几帳面に「起・承・転・結」を練りに練って考えても仕方がないわけです。
Aメロ、Bメロ、サビ、どこを聴いても「何について歌っていて、主人公はどんな気持ちか」が分かる歌詞。
これがポップスの歌詞を書くにあたって目指したいゴールです。
「つまらない歌詞」にしないために
歌詞に「起・承・転・結」がいらない理由は他にもあります。
一曲の中で物語を終わらせてしまうことは、リスナーの想像出来る余白を無くしてしまうことにもなります。
これはリスナーが歌詞に「共感」できる範囲を狭める事につながります。
それでも「ストーリーがない歌はつまらない!」と思う方もいらっしゃるでしょう。
例えば1番で、主人公の女の子が恋に落ちたとします。
2番ではその相手と少し近づくことができ、
3番でめでたく付き合えました!
「そうですか。」
リスナーとしてこの曲を聞いた人はこう感じてしまうでしょう。
恋する気持ちを共感したいと思って聴いているリスナーにとって、
これほどつまらない歌詞はないのです。
テーマは絞れるまで絞る!
ではどうしたらいいのか?
そのためには、より
「テーマを絞り」「テーマに忠実に書く」こと
これが大切になっていきます。
恋愛の中でも「片思い」をテーマにするならば、「片思いしている」状況に関することのみを書きます。
片思いより手前の「恋の予感」をテーマにするならば「予感」までに留めておきます。
どちらもその先を書く必要はないのです。
曲の主人公はいつだってリスナー
こうすることでよりピンポイントに、同じ状況にあるリスナーの共感を得られます。
そして物語の主人公はリスナーへとかわり、その先は彼らにお任せするのが良いのです。
リスナーはいつだって「自分が主人公」なのですから。









